今回はデザイナー『ウィリアム・モリス』をご紹介させて頂きたいと思います。

【ウィリアム・モリスはこんなデザイナー】

「美しいと思わないものを家に置いてはならない」 ウィリアム・モリス

尖った名言ですね。

モノがあふれている現代だからこそさらに重みを増す言葉にきこえます。

生活と芸術を一致させようとするモリスのデザイン思想とその活動、「アーツ・アンド・クラフツ運動」は各国に大きな影響を与えました。

どんな運動だったのかを大まかに。

19世紀イギリスでは産業革命後、大量生産によって粗悪な悪趣味な日用品があふれていました。また、機械化が進み、働く人々から仕事のやりがいや喜びを奪っていました。

モリスは「労働が喜びだったような中世の社会のように、もっと伝統的な職人芸を見直し、手仕事で作り出される芸術的な日用品を復活させて、人々の生活のクオリティーを向上させよう!」

というような理想を掲げて運動をおこしました。

(何だか今現在とのデジャヴを感じます。)

また、デザイナーとしては、美しく芸術的な室内装飾のデザインを数多く残しました。なかでも有名なのは壁紙やテキスタイルです。

植物図鑑のように繊細で力強く、のびやかに広がる植物パターン、愛らしい身近な小鳥、動物たち。

繊細で装飾的なパターンは現在でも世界中で多くのファンに愛され続けられています。

【Artichoke Embroidery(アーティチョークの刺繍柄)カーテン】

ウィリアム・モリスのデザインした中で特に有名、人気なのは「イチゴ泥棒」。
モリスが1883年のデザインとした柄です。 苺をついばみに来たムクドリが愛らしい。
小鳥と花、苺、葉、細かな模様が複雑にパターン化された、最もよく目にする柄です。

しかしながら、私が一番好きなのはモリスが1877年にデザインした「Artichoke(アーティチョーク)」からインスピレーションをうけたデザインです。日本ではあまりなじみのないアーティチョーク、欧州では一般的なお野菜です。ガーデニング雑貨なのでよく見かけますね。それを大きく大胆にパターン化し連続して描かれています。ファブリックと壁紙とで模様が違うのも面白い特徴です。

『Artichoke Embroidery(アーティチョークの刺繍柄)』

何といってもオール刺繍生地の迫力。ファブリック好きにはため息が出るほど素晴らしい生地なんです。

このアーティチョーク柄、1つの大きさが30センチほどもあるんです。

有機的に絡みあう茎とツルと小花、大胆にデフォルメされたアーティチョーク、刺繍生地ならではの立体感と光沢に目を奪われます。

カラーは4色。どれも個性的で同じ柄とは思えません。

【食べてみたいな、アーティチョーク】

アーティチョーク、日本ではなかなか馴染みのないお野菜です。

キク科チョウセンアザミ属。若いつぼみを食用とするそうです。

ガーデニングの小物や海外のインテリアや装飾などで見かける機会があるかもしれません。

調べてみたら、日本でも少しずつ生産され出荷されているようですね。生産地は大阪、茨城、神奈川、群馬など。

4月頃から~7月頃まで出回り、食べ頃の旬の時期は5月から6月頃となるそうです。

【おわりに】

今回、カーテンとウィリアムモリスの思想とを一緒にご紹介させて頂きました。

今日までモリスがこれ程までに愛される理由は、生み出されたデザインの素晴らしさだけでなく、

彼の考える作り手の技術とプライド、手仕事の美しさ、ぬくもり、

そういったバックグラウンドに魅了されるからではないでしょうか。

確かに、自分の感性で選んだものに囲まれて暮らす生活は、彼の言っていた

「生活のクオリティーを向上させる」ことにつながるものだと感じました。