先日、カンヌ国際映画祭 パルムドール受賞 『 万引き家族 』 を鑑賞してきました。 評価が分かれる作品だと思いましたが、私は余韻の残る、考えさせられる映画だと感じました。 映画に登場するインテリアはそこに暮らす登場人物たちの生活、経済、趣味、価値観、性格など、 沢山のものを説明する役割も担っていると思います。 『万引き家族』でも家族が暮らす家の中からは色々な情報を読み取れました。 私が鑑賞した中でインテリアが特徴的だったのもをいくつか取り上げたいと思います。 ただ、私も映画ファンになってから数年、好みも偏っているので軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。

<リップヴァンリンクルの花嫁>主人公が住み込みのメイドとして働くことになった館。内装は吹抜けのホール、豪華なシャンデリア、ヨーロピアンな家具、白いピアノなど ファンタジックな雰囲気で繊細でやわらかく、傷ついた彼女たちを柔らかく包み込むような空間でした。

<her 世界でひとつの彼女 >近未来のロサンゼルス。主人公のファッションはダサい。ハイウェストでシャツはIN!でもインテリアは上級者です。 生活に必要なものを最小限に、バーチャルで事足りるから物は置かなくなるという感覚に今の延長線上にある近未来っぽさを感じました。 まさに引き算のテクニック。ベーシックでシンプルだけどお洒落に見えるのは統一感があるから。あと、カラーがポイントになっています。

<かもめ食堂> 北欧インテリア好きならコレですね。お洒落なお店と家具、ファブリック、フード。 ちょっと前のPascoのCMはこの映画の続きのような雰囲気。

<(500日)のサマー> IKEAデート、楽しそうです。 鑑賞する人の恋愛経験値次第でサマーとトム、どちらに共感するか感想が分かれそうな映画です。

<ルビー・スパークス> 主人公は19歳の時に天才と称されデビューした小説家。でも今はスランプ中。部屋は白で統一、余計なものは一切置かずに実にシンプル。 コレクションであろうLPレコードがきっちり納まっている棚と、タイプライターを使って執筆しているところに彼の「こだわり」がみれます。 彼女ができてからは色が加わります。彼女自身がカラフルな存在。あと、離れて暮らす彼の家族は明るく陽気。家もそんな感じです。

<雨の日は君に会えない、晴れた日は君を想う> カメレオン俳優、ジェイク・ギレンホールが高級そうな自宅をぶっ壊します。 観ているこっちがすっきりするくらい。家(それまでの自分自身)を壊し、ゼロからまたスタートしようとする破壊と再生の物語。 タイトルは長いですが良い映画です。

<シングルマン> 世界的なファッションデザイナー、トム・フォードの監督デビュー作。 インテリアに限らず、全てがハイセンスです。男の美学ともいうのでしょか。ファッション、車、思考も完璧すぎて隙がないです。

<ありがとう、トニ・エルドマン> 生活の120%を仕事にかけているキャリアウーマンのお部屋。寝室以外まるで生活感がありません。 きっと冷蔵庫も空なんだろうな。インテリアなんてまるで興味が無くて、全部秘書に丸投げしていそうな無個性さが際立っています。

<リベンジ> フランス発、バイオレンススリラー?痛×グロの表現にかなり耐性のある私でも観ていてゾワッとしてしまう程だったので苦手な人は絶対ダメです。 舞台のお家は砂漠のど真ん中に立つ高級別荘。ミッドセンチュリ~なお洒落すぎるインテリア。ラストシーンは家の構造を利用した血みどろ追いかけっこ! 観る人は選ぶけどかなり楽しめた映画です。何より主演の女の子が「可愛い・セクシー・あざとい」三拍子そろっていて最高です。

映画やドラマもストーリーだけでなく、映っている背景部分にも注目してみると、また違った面白さがあるかもしれませんね。 見覚えのある家具が登場していたら何だか嬉しくなります。