※ちょっとネタバレ?

意識しているわけではないんですが、LGBTを扱った映画をよく見ます。

「ブロークバック・マウンテン」「アデル、ブルーは熱い色」「パレードへようこそ」「シングルマン」「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」「トム・アット・ザ・ファーム」「キャロル」「ムーンライト」「君の名前で、僕を呼んで」などなど。

今作品、予告をみて、ああなんか良さそうだなぁと思ったのですが、出演に「グザヴィエ・ドラン」!!!! 先生、出演してるのも良いけど早く新作が見たいです!!!

「ある少年の告白」、主人公は自身が同性愛者だと気づいた。きっかけがあり両親にカミングアウト。息子の告白を受け入れられない両親は「矯正セラピー」に参加させられるが、矯正が強制になってるじゃないですか!

鑑賞後思ったことは「宗教って大変だな」ということでした。これは以前から様々な映画を鑑賞した後に感じます。私はユルイ感じの日本の宗教観しか持ち合わせていないのですが、環境によって価値観、宗教観、人格が形成されていくとして、それはその後の人生において大きな役割を果たす部分であり…難しく、 答えのない問題です。

作中で本当に良かったのが主演のジャレット(ルーカス・ヘッジ)が苦悩と葛藤とそんな中にあっても自らの思うことを実行に移す真摯な姿勢。セラピーでうまい具合いに矯正されたフリを演じればいいと言われながらも、自分の信じるものを否定せず、間違っていると言える勇気。父親を憎んでいると決めつけられ、その怒りをぶつけろと言われても、憎んでない、だからそんなことは言えないと拒否する。その強い意志は、その時は揺らいではいても、現在までの両親との信頼関係の中で育まれたのもなのでしょう。

人は自分が普通と思っていること以外は受け入れがたい。知人の話として「あの人はゲイ」と聞かされるのと、身内からのカミングアウトでは全く違う反応になるのは仕方のないことなのでしょう。今回は特に父親が牧師という職業柄、信仰(今まで自分が寄りどころにしてきたもの)か、息子の意志を尊重するかの葛藤がとても切なく感じました。

ジェンダー、多様性、パーソナルアイデンティティ、と言われ、個を尊重する風潮にある現代の中で、この映画の取り上げた問題がつい最近の出来事であることがエンドクレジットで流れます。ブラッククランズマンの時もそうだったけど、アメリカっていろんな意味で…改めてすごい国だなあ思いました。