巨匠「ジャン・リュック・ゴダール」の最新作、『イメージの本』。
前回以上に難解だった今回。

2014年にカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した「さらば、愛のことばよ」から早5年ですか。私には早すぎる映画とも思えましたんが、シネウインドさんで新作を上映するとなれば見に行くしかあるまいて。

感想もレビューもない、面白いとも人に薦めたいとも思わない。しかし見て後悔はない作品。それでも前作はストーリーらしきものはあったように思えます。しかし今回はタイトルの通りゴダールの頭の中のイメージ、インスピレーション、作品に影響を与えたであろう(これから与えるのか?)そんな関連性のない断片的なイメージのぶつ切りを延々84分魅入る超体験。コラージュのように切り貼りされ続ける映像美。それでも関連性のない映像群の連続でも完成度がパーフェクトだからどんどん深みにはまるように魅入ってしまう。

優美なクラシックと美しく微笑む女性かと思えば爆撃音と屍、モノクロ映画からサイケデリックな映像、絵画と映像と何もかもが混とんカオス状態。はじめは理解しようとしていた思考も徐々に観るという行為に集中してゆく。

それでも根底に感じるのは戦争や暴力に対する憎悪、怒り。

そういえば、作中で何点か一瞬のシーンの中で見覚えのある絵画が。印象派を代表する ギュスターヴ・カイユボット の「床削り」と 「ガブリエル・デストレとその妹」? ?

作中の中の何点かの作品を存じていればまた印象も違うのかな。混沌と混乱。よく超現実的な作品を発表するアーティストの頭の中をのぞいてみたいと思ったこともありますが、こんな感じでしょうか。

今回は感想でもなんでもなく、理解なんてほど遠いゴダールの頭の中身を見せつけられ、圧力に圧巻された激しい作品。御年88歳。そんな年齢なんて感じさせないエネルギーに満ちたとんでもない作品。さてさて次はどんなものを見せてくださるのか。今回の作品の見る限り、まだまだ新世界を見せてくれそうです。