私の今年上半期ベスト1位かもしれない、 素晴らしい映画です。
※ネタバレしています

とにかオープニングがカッコいい映画に外れ無し。

2004年に4人の大学生が時価1200万ドル(約12億円相当)のビンテージ本強奪を狙った実際の窃盗事件を映画化 。
最初のクレジットで「これは事実を基にした話」→ 「これは事実を基にした話」 何の意図があるのかは分からないまま話は進む。
(因みに、最初に「この話は事実に基づいた話だ」と言われてもコーエン兄弟の「ファーゴ」を思い出してしまうんです。 )

予告編では 大学図書館に時価1200万ドル(およそ12億円相当)の超える画集「アメリカの鳥類」を強奪し、退屈な日常を脱して莫大な金で人生は最高になるヒャッハーー!!犯罪映画を参考に作戦を練ることにした4人は、特殊メイクで老人に扮し図書館に乗り込む計画を立てる。
何となくトレインスポッティングのような若さゆえのはっちゃけムービーだと思っていました。
しかもオーシャンズ11、レザボアドッグス、メンバーをカラーで呼ぶようにするところなんて、タラちゃんファンならニンマリするに決まってるじゃないですか!私も「ピンク」は嫌だなぁ...。

主演の 「バリー・コーガン 」
ヨルゴス・ランティモス監督 の『聖なる鹿殺し』では不穏で邪悪を煮詰めたような得体の知れない役柄を演じた彼、(ノーラン監督のダンケルクでは素朴少年でしたが)今回は ゴッホ、シーレ、モネ、偉大なる画家たちは困難に直面して傑作を描き上げた。 悲劇的な何かによって崇高な芸術作品を描けるようになると、劇的な何かを待っている青年。彼が大変良かったです。やはり表情は乏しいのですが今回は神経質でアーティスティック、ナイーブな面をもちつつも、変化を熱望し、計画に夢中になり、ふと我に返って、やるか、やらないか、彼の中での決断、焦り、あきらめ、焦燥、ヒリヒリ伝わる緊張感。

この映画で特徴的なのは、実際事件を起こした当人たち、その親のインタビューを挟んでいるところ。計画段階ではイタズラを仕込むように楽しげだった雰囲気も終盤になると不穏な空気に。そこに事件を起こした当人たちのインタビューも挟まれて、計画が実行されるか、されないか、どうするのか、その選択を迫られたときにとった行動とその後...

最初のクレジットにあった 「これは事実を基にした話」→ 「これは事実を基にした話」 最後のシーンでこの意味が分かります。これは事実に基づいている、しかし、ほかの誰かにとっては事実ではない、当事者たちにとっても何がノンフィクションで何がフィクションなのか、実際のところ分からない。何とも考えさせられる映画でした。

最近鑑賞する「実際に起った出来事を基にした作品」グリーンブック、ある少年の告白、アメリカンアニマルズなどエンドクレジットで実際の当事者たちが現在どのように暮らしているか、又はどのように最期を迎えたのかを紹介しています。事実に基づいた作品、フィクションであるかもしれないけど、確かに人が経験した出来事を下地に作られた作品たち。それをどのようにとらえ、感じるのかは観る側に委ねられていると思いました。

最後に。大好きなタランティーノ監督最新作は8/30公開! ブラッド・ピットとディカプリオ共演で見ないという選択肢、私にはありません!!